社会学部クラス
社会学部クラスでは、社会学部の3つの学科(社会政策科・社会・メディア社会)の特徴をふまえつつ、さまざまな社会課題にアプローチしています。自分自身の問題意識を大切に「社会課題」を発見し、自ら「問い」をたてて現状を分析し、課題解決にむけた提言を行うことを基本にしています。
クラス全体としては、「多文化共生」をひとつのテーマに設定し、「グローバル化」をめぐるさまざまな課題を「わたし」と「わたしたち」、そして「地域」を軸に考えていく予定です。具体的には、映画『パッチギ!』と『マイスモールランド』の鑑賞、それに関する歴史や現状についての事前学習、新大久保や鶴見などのフィールドワークを予定しています。
各自の自主性をもとに「大学での学び」に繋がるような取り組みを目指します。
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2024年度 社会学部クラスの取り組み
取り組み その1
1月初日のガイダンスでは、社会学部についての説明や「調査の心得」などを確認したあと、互いに自己紹介や話し合いを通して交流を深めました。その後、班ごとにプレゼンに向けたテーマの検討を進めています。
【大学生講演会】
1月15日には、卒業生で社会学部2年の平野さん、4年の中島さんと藤井さんにお越しいただき、大学生活についてのお話を伺いました。社会学部では世の中の「あたり前」について社会のしくみから考えていくこと、多摩キャンパスは四季が味わえること、熱中できることをみつけてほしいこと、行動することの大切さなど、三人の経験を通して具体的に語っていただきました。
「三人ともそれぞれがやりたいことに打ち込んでいて、すごく素敵だと思った。自分もこんな大学生になりたいと憧れを抱いた。スポーツで世界に行ったり、TOEICで高スコアをとったり、企業を立ち上げる夢があったりと、高校時代からは想像できないようなことをしていて格好いいと思った。その実体験を聞いて、自分も努力して自分を変えたいと思うようになった。」
「実際に社会学部で学んでいる先輩たちの話を聞いて、三人に共通して何か1つのものに夢中になって本気で取り組んでいることがあると気づいた。とにかく行動に移すことで自分の夢へ一歩近づけられるというメッセージがとても刺さった。講演を聞いて、大学に入ったら自分のしたいことはもちろん、夢へ少しでも近づけるような行動をしなければならないと実感した。」
生徒からは、上記のような感想が寄せられました。多くの生徒にとって、大学での学びや目標についてイメージできる貴重な機会になりました。
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【社会人講演会】
1月20日には、卒業生で社会人の鞍馬さんから、二高時代、社会学部時代、そして現在の記者としての仕事などについてお話をいただきました。社会学部で学ぶこととして、歴史や社会構造のような「時代を超えても変わらないもの」と、ジェンダーなど「現在進行形で変化しているもの」を時代の検証で明らかにすること、そしていろいろなことに挑戦してほしいというお話がありました。
また、世界を飛び回りながらの取材の様子とともに、ライスワーク・ライクワーク・ライフワークについて、ご自身の考えを語っていただきました。生徒からは、以下のような感想が寄せられました。
「私はまだ目標が“コレ!”といったものがないので、様々なことに挑戦し、多くの物事にふれて自分のやりたいことは何なのかというところを突き詰めていきたいと思いました。多くのことにチャレンジする、好きなことを見つける、そしてそれが活きるような仕事をできるように頑張りたいです。」
「仕事で海外に行くことができたり選手に取材をしに行くことができたりと、好きなことを仕事にすることができていて素敵だなと思いました。やはり、目標が決まっていることで大学のゼミであったり、行動することが大切なのだと思えました。」
「社会人としてのお話を聞くことで、自分が社会人として働くイメージを持つことができました。好きなことや興味があることが仕事になっていることはとても素敵だと思います。私も好きなことを仕事に繋げたいと思いました。大学では英語力を鍛えつつ、海外に行き貴重な体験をしたいと思います。大学4年間を充実したものにするために、漠然と過ごすのではなく、目標に向かって過ごしたいです。」
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取り組み その2
【フィールドワーク】多文化共生を考える1
事前学習として、クイズを交えながら日韓・日朝関係史を学ぶとともに、法政二高の歴史に関わる映画『パッチギ!』を鑑賞しました。
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1月23日、ABクラスに分かれて、麻布十番にある在日韓人歴史資料館の見学と新大久保の散策というフィールドワークを行いました。資料館では、学芸員さんの解説を聞きながら在日コリアンの歴史を日本社会との関係から学びました。生徒からは、「自分の知らなかった歴史を知ることができてとても有意義な時間になった。共生のためには互いの理解が必要だと感じた」、「在日についてより深く考えることができました。過去のことだから、自分がやったわけではないからという理由で事実から目を背けるのではなく、しっかり学ぶべきだと改めて感じました」などの感想が寄せられました。
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新大久保ではグループごとにチェックポイントを回り、食べものなどの写真撮影と「食レポを書く」という課題に取り組みました。
チェックポイントは、「江戸時代、皆中稲荷神社のある地に住んでいた人々は誰か『〇〇隊』で答えなさい」、「皆中稲荷神社の絵馬には、なぜ『開運的中』と記されているのかその意味を答えなさい」、「皆中稲荷神社の絵馬には、人びとのどのような『願い』が書かれているか、その特徴をまとめなさい」、「イスラム横丁(百人町2丁目)の店舗・店員の様子、品物の特徴などをまとめよう」、「案内板、電柱、ゴミ置き場などの標識にはどんな言語で記されているかすべて記しなさい」、「ソウル市場(大久保通り)や韓国広場(職安通り)に入り、 店舗・店員の様子、品物の特徴などをまとめなさい」、「食べたものがどうだったか、食レポを書いてください」などです。
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翌日、振り返りを行いました。映画『パッチギ!』を見て印象的だったシーンや疑問点、班で出た意見をまとめるとともに、フィールドワークで気づいたことや学んだことについても意見をまとめ、発表を通してクラスで共有しました。
街の様子については、「イスラム系のお店には日本人や日本語が少なく、イスラム系の人がたくさんいた」、「韓国旅行に行かなくても韓国を感じられると思った」、「様々な地域の方がいて多文化に触れられた気がして良い経験になった」、「新大久保には全体的に内装も外装もこだわっていて、映えスポットが多かった」、「新大久保は韓国の街ではなく、多文化が集まるところだった」などの感想がありました。また、食事の画像を見ながら、生徒からの興味深い食レポがありました。
【社会学部の事前ガイダンス】
1月27日に、二高生向けの社会学部事前ガイダンスが行われました。金井先生と学部長の澤柿先生からの学部説明と大学での学びについて、大学生によるトークショー、そして徒歩とバスによるキャンパスツアーが行われました。終了後は、食堂で昼食をとり、大学生活への心の準備を進めることができました。貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました。
【フィールドワーク】多文化共生を考える2
事前学習として、川和田恵真さんの『マイスモールランド』の文章と映画鑑賞を行い、クルド人や入管問題についてグループ学習とプレゼンを行いました。また、BOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)の大学生にご来校いただき、日本で暮らす難民の方々や入管問題についての現状や課題について学びを深める機会がありました。
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1月30日には、鶴見地域を通して多文化共生の課題を考える事前学習をふまえ、実際に鶴見地域を歩きました。今回のチェックポイントは、「鶴見駅・鶴見線のホームの時計のプレートの文字は誰が誰に送ったものだろうか」、「鶴見朝鮮初級学校は現在どうなっているだろうか」、「小野弁財天神社の小野って誰? 石鳥居や手洗鉢はいつのもの?」、「なぜ沖縄や中南米のお店があるのだろう」、「東漸寺にある大川常吉の碑を建てたのは誰」などです。
JR鶴見駅の鶴見線ホームの大時計とプレートの解説をした後は、鶴見小野駅で下車し、鶴見朝鮮初級学校跡、小野弁財天神社、大聖寺などを見ながら、仲通浜町線の道路沿いなどにある中南米料理店や沖縄料理店でお土産を購入したり、昼食をとりました。
今回も購入したものや食事についての食レポを課題とし、翌日振り返りを行いました。
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取り組み その3
【講演会】川崎における多文化共生の取り組みに学ぶ
2月6日には、川崎市における多文化共生の取り組みについて学ぶ機会をもちました。お話いただいた川崎市市民文化局市民生活部多文化共生推進課の髙橋誠一さんは、これから進学する法政大学社会学部の先輩でもあります。詳細なデータをもとに、在留外国人の増加と「体感治安」の問題、「共に生きるまちづくり」と外国人市民の取り組み、“要求から参加へ”・“個別と普遍”・”相互理解と共生”の視点、川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例とヘイトスピーチの問題など、現状の取り組みや課題について学ぶことができました。
さらに、多文化共生について考えるためのワークショップとして、ジェスチャー・ワールド(共通点探しゲーム)を行い、わたし(たち)のなかの「あたりまえ」を考える機会になりました。生徒からは、以下のような感想が寄せられました。
「『多文化共生は違う国の人を特別扱いすることではない』という言葉がとても印象的で、現在起こっている『多様性』を巡る様々な問題にもこの言葉は繋がる部分があるのではないかと考えました」。
「言語の壁が社会的問題に繋がっていると考えていて、今回のワークショップから学んだことは言語が異なっているとしても言語なしで通じることができるということでした」。
【プレゼンテーマ(仮)】
19日に行われるプレゼン大会にむけて各班で準備を進めています。先日は、中間報告会を行い、課題を確認しました。また、本番と同じ形式でプレゼンリハーサルも行いました。
班ごとに行ったフィールドワークでは、さまざまな当事者の方にお話を伺うことができました。取材を通して考えた社会課題にどう向きあうのか、各班からの提言に耳を傾けたいと思います。以下、各班のプレゼンテーマ(仮)です。
A1 回転寿司の取り組み
A2 有名ローカル商品に迫る ~さわやかハンバーグ~
A3 NO MORE!こころ泥棒 ~ホスト沼のリアル~
A4 子どものしあわせな暮らしのために ~子どもの生活と食と健康~
A5 水族館のこれまでとこれから ~人と生きものの共生のために~
A6 フェアトレードを広めるには
A7 K-popの流行
A8 給、食好きになりました。 ~役割と現在~
B1 プロジェクトH ~テレビ離れに挑む者たち~
B2 受け継がれる挑戦 ~コカ・コーラの歩みと未来~
B3 サウナブーム到来
B4 美容業界のイノベーション ~持続可能な美容のための革新技術とトレンド~
B5 これからもいちごを食べていくには
B6 鬼怒川プロジェクト
B7 電子書籍
B8 ヤーコン革命 ~新時代の野菜の可能性~