高校3年3学期

現代福祉学部・文学部心理学科クラス

高校3年3学期

 現福・文心理クラスは、現代福祉学部福祉コミュニティ学科、臨床心理学科及び文学部心理学科の生徒24名で活動します。1月上旬は、講演会・フィールドワークを中心に人々が直面する社会問題に関して学習します。1月中旬から、班中心に調べ学習を行いプレゼン発表に向けグループ学習を並行して行います。2月下旬のプレゼン発表後は、各自、論文作成に取り組みます。自ら課題を設定し「主体的な学び(調べる・発表する)」を深める活動と、講演会やフィールドワークを通じて、大学進学後に必要とされる「複眼的に物事を見る力」を身につけてほしいと思っています。

 初回ガイダンスでは、高校の学びから大学の学びへの準備期にあたる時期であり、与えられる事を待つのではなく、社会の課題と向き合い問い続けることが大切だと伝えました。新たなクラス編成なので、アイスブレイクや自己紹介をして交流を図りながら親睦を深めました。生徒の興味あるキーワードから班を分けて、プレゼンに向けテーマ決めを行っています。
 また、卒業生6名による講演会を行い、大学生活、アルバイト、ゼミ、今やるべきこと、など講演をして貰いました。その後、各学科に分かれてより細かい個別の質問にも答えて頂き、生徒は不安なく大学生としてスタートできそうです。

2023年度 現代福祉学部・文学部心理学科クラスの取り組み

取り組み その1

1月15日~1月27日までの取り組みは以下の通りです。
①プレゼン準備を進める。
②クラスのフィールドワークとして、横浜市寿町へ行く。
③社会学部進学予定生徒と合同で、水野哲夫先生による講演「性の多様性」を聞く。
④大学事前オリエンテーションを受ける。
⑤スクールカウンセラーの講義を受ける。
⑥クラスのフィールドワークとして、東京地方裁判所に裁判傍聴に行く。

生徒は、上記取り組みを主体的に行い、非常に充実した2週間となりました。

①個人でテーマに関する本を数冊借りて、空き時間や隙間の時間を利用し読んでいます。論文のアウトラインを作り、各班の全体像が見えてきました。本論を厚くするために、各班はフィールドワーク先を検討打診して、訪問取材のアポイントを取りました。失礼のないようにメールの文章を作成したり、緊張しながらの電話でのやり取りがとても印象的です。

②寿町について知っていた生徒はいませんでした。学校で事前学習を行い実際に足を運びました。町の歴史を戦後から振り返り、日雇い労働者が中心だった過去から現在までの変遷を学びました。「日本の高度経済成長期を支えていた方々もいるという事を知り見方が変わった。」「介護施設が多く福祉のニーズが高い福祉の街だった。」「高齢化が進むこの町には若い人材が必要。」という感想が聞かれました。

③「性」を「セクシャリティ」という言葉でとらえ勉強しました。ワークや映像も多く楽しみながら多くの事を学ぶことができました。生徒からの質問には、「デートDV」と「ジェンダー」についての質問が多かったです。それに対して、水野先生には丁寧に返答して頂きました。

④文学部心理学科進学予定生徒が、法政大学市ヶ谷キャンパスへ行き、法政国際高校や法政中高の進学予定生徒と顔を合わせ交流しました。教授からの事前オリエンテーションを受け、高校生からは法政心理について質問をしました。

⑤本校スクールカウンセラーに、「今の自分と向き合い、これからの自分に出会うために」というテーマで講義を行って頂きました。「他人の意見を尊重できるようになった。」「自分の意見を言葉にできるようになった。」「いろいろな考えを持つ友達や教員とうまくやれるようになった。」それぞれの生徒が3年間のこころの成長を振り返ることができました。

⑥「思ったより裁判長は優しい口調だった。更生を促す言葉が熱かった。」「縄や手錠がリアルで、緊迫感があった。」「女性がバリバリ働いていてカッコよかった。」 「犯罪の背景には孤独が潜んでいて、抑止には、居場所や相談場所が必要だと感じた。」「調査官に興味がわき、心理学についてより学ぼうと思った。」高校生という多感な時期に、たくさんの刺激を受けてくれて、あらためてフィールドワークの意義や価値を強く感じました。

 

取り組み その2

1月28日~2月17日までの取り組みは以下の通りです。
①クラスFWの国立ハンセン病資料館(国立療養所多磨全生園)へ行く。
②真栄田早希さん(BOND)講演会「日本の入管問題とは? 」を聞く。
③映画「マイスモールランド」を鑑賞する。
④一分間スピーチ(中間発表)を行う。
⑤各班がFWを行う。
⑥プレゼンリハーサル大会(プレゼン準備)を行う。

①「舌読は衝撃的だった。」「ハンセン病が問題なのではなく、国の対応が問題だった。」「無知や無関心による偏見と差別が問題。」「結婚の条件としての断種や堕胎の優性思想は怖い。」「私たちは、多くの情報から取捨選択をしなければならない。」「周りが変わるのを待つのではなく、自分自身が変わらないと社会は変わらない。」「同じ過ちを繰り返さない。」などの感想から、生徒は多くの事を学んでくれたと思います。

②「講演者の、まずは自分が行動すべきという言葉に刺激を受けた。」「入管問題をメディアはもっと取り上げるべき。」「難民が増えることのメリットとデメリットでは、メリットの方が大きいのではないだろうか?」「なぜ、日本は難民条約に加盟しているのに、難民認定率がこんなに低いのか、もっと知りたくなった。」なんで?もっと知りたい!と言う気持ちになりますよね!これからもっともっと社会に目を向けて欲しいです。同世代の方々がすでに活躍しています。

③「しょうがないよ、で物事を終わらせてはいけない。」「同じ人間であり、同じ命であり、平等に扱われるべき。」「この映画を通して難民問題に目を向ける人が増えますように。」映画からも高校生は十分に気づき刺激を受けてます。たくさんの事に触れて、物事を多角的にとらえ、その背景など考えを深めて欲しいです。

④「正面を見て、スマホを見ないで姿勢を正して話しましょう。」「もう少しゆっくり、抑揚をつけて大きな声で話しましょう。」緊張感ある中で、スライドをもとに個人による1分間スピーチを行いました。スマホやレジュメを読まずに、聞き手を見ながら説明がすることが望ましい姿です。プレゼン大会が楽しみです。

⑤「更生保護法人 川崎自立会」「川崎市 中部児童相談所」「新日本学園」「川崎市子ども夢パーク フリースペース園」「AARJapan[難民を助ける会]」「日本財団」「日本赤十字社 神奈川県支部」「東京都手をつなぐ育成会」「NPO法人 あではで神奈川」お忙しい中、たくさんの企業、民間団体の皆様に取材や協力をして頂き、誠にありがとうございました。生徒は、緊張しながら自分たちでアポを取り取材をしました。現地のリアルな声が聞けて、多くを学ぶことができました。

⑥22日のプレゼン本番に向けて、各班がリハーサルを行いました。下を見て、スマホやレジュメを読む生徒はほぼいなく、聞き手の方を向いて話すことができました。多くの班が、規定の20分前後で終えていました。他の班を見る(評価する)ことによって、学ぶことも多く、刺激を受けたと思います。当日は、準備したものをすべて発表できる

取り組み その3

2/182/24 プレゼン大会
法政大学から林容市先生(文学部)と土肥将敦先生(現代福祉学部)に参加して頂き、講評をもらいました。お二人には、プレゼンの評価だけでなく、能登半島地震について、海外の話、物の見方、数字の見方についてなど普段なかなか聞けないお話をして頂きました。生徒は興味深く聞き入っており、中身の濃い充実したプレゼン大会となりました。お忙しい中時間を作って頂き、本当にありがとうございました。

発表をする前までは、緊張気味でしたが、レジュメを読む生徒もいなく非常に頑張ったと思います。また、大学の先生も穏やかで楽しく、場の空気を和ませてくれました。発表を終えた生徒からは、「やっと終わった~」「楽しかった」「プレゼン楽しい」「もっといいプレゼンしたい」などの声が聞こえ、大学への準備としては素晴らしい日となりました。この三学期の価値はみんなの主体性が創りあげたものです。受動的な学びから主体的な学びへ、みんなキラキラしていて楽しかったです。社会に目を向け、複眼的に物事をとらえ、クリティカルでロジカルでエモーショナルな大学生活を!応援しています!!