年に一度、硬式野球部の同期会を開いています。神奈川県大会優勝、関東大会準優勝など、甲子園まであと一歩というチームでした。卒業から30年近く経っていますが、みな当時の記憶は鮮明で、昔話に花が咲きます。かけがえのない3年間をともに過ごした仲間は、当時の成績や現在の職業などに関係なく、不思議な絆で結ばれています。(あまりに苦しい3年間でしたので、あの頃に戻りたいとは思いませんが・・・)。
さて、大学卒業後、私は故郷から遠く離れた熊本県の放送局に勤めました。みなさんご存知のように、熊本県は2016年に大きな地震災害に見舞われました。私たち放送局は被害や復旧の状況をつぶさに伝えました。そういったさなかに、私は、ごく当たり前のことに気づかされました。それは「世の中のありとあらゆる“仕事”は必ず誰かの役に立っている」ということです。仕事とは、安全、安心、やすらぎ、楽しみなど、人の気持ちを満たすためにあるのではないでしょうか。
では、高校時代にどんなことを養うべきなのか?当然、テキストはありません。でも、焦らないでください。みなさんは、ご家族だけでなく、先生やクラスメイト、チームメイト、先輩後輩を自らの鏡として、いつのまにか「自分とは何者なのか」を知ります。すると大学や企業など、目の前の選択肢が知らず知らずのうちに広がっていきます。そうして飛び出した社会で、実は法政二高だからこそ得られる一番の強みがあります。「社会のストレスに耐えうる“バランスのとれた”体力と知力」です。みなさんの通う法政二高は、その力を培うチャンスが至るところにあります。
ただ、ここまで記したことは、二度と戻りたくないと思ってしまうほど一所懸命な高校3年間を過ごすことが前提だと思っています。ぜひ有意義な3年間を過ごしてください。