現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に付けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回はある日の高校生の理科の授業を見てみましょう。
Q.「科学と人間生活」とは聞きなれない授業名ですが、どのような内容に取り組んでいますか?
科学と人間生活は自然科学分野について、総合的に学習する理科の授業です。本校では、地球規模の問題となっている気候変動と関連の強い「エネルギー問題」について学習しています。エネルギーは目に見ることができず、実感がわきにくい概念です。しかし、私たちの生活と関りが強く、特に電気は日常生活において欠かすことができません。自分たちが使っている電気について、何を原料としてどのようなシステムで作られているかを学ぶ中で、エネルギーを生み出す際に関わる社会問題について考察しています。
Q.どのような実験、実習の授業に取り組んでいますか?
原子力発電に関する学習に取り組む中で、放射線の影響について学びます。一学期の実験では、「放射線源からの距離と放射線量との関係」について、実習をしました。「日本原子力文化財団」より、放射線測定器「はかるくん」をお借りし、グループで、放射線の測定をおこないます。放射線源からの距離を変えて、測定してみると、「距離の2乗に反比例」して、放射線量が減少していきます。今までに経験したことの無い形状のグラフを書くことができました。放射線は、浴びている時間、遮蔽物、発生源からの距離によって人体への影響が変わっていきます。目に見えないものを正しく理解して扱っていけるように知識を身に付けています。
また、原子力エネルギーの利用については、賛成の人、反対の人、判断が付かない人など、様々な立場の人がいます。意見が分かれる問題であれば、話し合いによってお互いの立場を理解しなければ、方向性は示せません。授業の中では、みんなの意見を聞き、自分の考えを話すため、班討論をおこなっています。同じ世代の意見を聞く機会は貴重な経験になるようで、考えを深める人、考え方が変わっていく人、様々な様子が見られます。
年間のまとめの時間では、2050年の未来を想像し、自分であればどのようなエネルギーを活用し、自分自身で発電構成をしていきます。明るい未来を作るため、持続可能な社会にすることができるエネルギーの活用を目指してもらいたいです。
いかがでしたか? 法政大学第二中・高等学校ではこのほかにも様々な工夫がこらされた授業が行われています。今後もいろいろな授業について紹介していきたいと思います。
※授業における取組の内容については、年度によって変わることがあります。