THAT'S 法政二!

高校授業紹介3 -高校1年国語(言語文化)-

高等学校
THAT'S 法政二!

 現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に着けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回は高校1年生の国語(言語文化)のある日の授業を見てみましょう。

Q.今日の国語の授業では、どんなことに取り組んでいますか?

 これまで1学期前半には、高1の最初に扱う文章として比較的読みやすい説話の中から『今昔物語集』「羅城門ノ上層ニ登リ死人ヲ見タル盗人ノ語」を用いて、基礎的な文法の演習と「どのように現代語訳を作っていくのか」という手法の基礎を学びました。

 その上で、この作品を題材として作られた『羅生門』(芥川龍之介)を読み、グループワークで二作品の登場人物に着目した比較検討から共通点や相違点を見いだします。グループワークでは、まず各生徒が付箋を用いて、登場人物や場面ごとに共通点や相違点を自由に紙に貼っていき、それを見ながら議論を交わし、班としての共通理解をワークシートにまとめます。その後、その共通点や相違点を踏まえてこちらが設定した問について考えを深め、個人単位で小論文の形式に書き上げていきます。

 2学期以降も文体の違いによる内容や読みへの影響の違いや、グループごとに『平家物語』の主要登場人物を設定し、理解を深め班発表を行うといった取り組みを予定しています。

 

Q.国語科では、このような取り組みをもとにして、どのような力を身に着けてほしいですか?

 この「言語文化」は今年度から高1で始まった新しい科目となります。昨年度まで「国語総合」という科目の中で現代文分野・古典分野と分けて学習していましたが、主に古典分野が独立した科目として新設されたというイメージです。

 「古典は難しくてよくわからない」「昔の文章を読んで何のためになるのか」といった声が少なからずあるのは教員側の耳にも入ってきます。そこで、「古典」ではなく「言語文化」という名称であることに着目して、古典に対するそういった意識、イメージを払拭する授業構築を目指しています。

 古典作品をただ読み、現代語訳や文法解釈を暗記するのではなく、それらの作品がどのような魅力や価値を持ち、それが現代に生きる我々の言語活動や思想、価値観にどれだけの影響やつながりがあるのか、また現代との相違点から自己を相対化し自己理解を深めていく等、生徒たちに実感を伴ったものとして主体的に学ばせていく授業を心がけています。

 具体的には、グループワークを主体として授業展開を行い、意味調べや学習した文法事項等を踏まえて生徒自身が現代語訳をできる力を身につけることを目指します。また、現代語訳の理解で終えるのでなく、関連作品や現代の文化との比較等、グループワークを通して班ごとに作品の理解を深めていき、それらを個人論文という形に仕上げることで、一人一人が古典の理解を主体的に深めていく形で進めています。

 いかがでしたか? 法政大学第二中・高等学校ではこのほかにも様々な工夫がこらされた授業が行われています。今後もいろいろな授業について紹介していきたいと思います。

※授業における取組の内容については、年度によって変わることがあります。