現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に付けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回はある日の高校2年生の数学科の授業を見てみましょう。
Q.今日の数学科の授業では、どんなことに取り組んでいますか?
高1での数学の授業と同様に、「教えあい」「学びあい」を意識した「集団で問題を解決していく」授業を実践しています。具体的には、授業の前半で教員による公式や例題の説明、後半では1班5,6人程度で班体制を組み、グループワークの形で演習問題に取り組む形式を行っています。
数学の難しさを感じる部分の1つとして、「合っていると思っていたのに間違えた。どこでどう間違えたのか気づかない。」があると思います。昨今では、教員の説明を聞く、教科書や参考書を読むだけでなく、YouTubeなどの動画サイトで分かりやすい授業の動画を見るなど、学習の手段が多様化しています。自分に合う方法で学べる環境だからこそ、効率よく学習を進めることができていますが、果たしてそこで学んだ内容は本当に「完全に理解できた」といえますか?分かりやすい説明を受けて、「分かったつもり」でいませんか?説明された解法を暗記して機械的に解くだけでは限界がありますよね。
「完全な理解」に向けて、「教えあい」「学びあい」は非常に重要です。教えていく中で、「なぜそうなるのか?」を説明できないと相手を納得させられません。説明でつまずいて初めて自分が分かっていないことに気づかされます。このように、一人だけでは気づけないことも一緒に考えることで発見できることがあります。そのような機会を増やすために、グループワークの形で演習問題に取り組んでもらっています。『主体性・共同性・総合性を意識した学び』の実現を目指す法政二高だからこそ、協同学習の場として「学校に来て学ぶ」意義を見出せるのではないかと思います。
Q.数学科ではこのような取り組みをもとにしてどのような力を身につけてほしいですか?
高2の数学の授業は、数学Ⅱと数学Aの2つの科目があります。授業で扱う内容は、数学Ⅱ・Aの内容に加えて、数学B(数列)や数学Ⅲ(関数・数列の極限)の一部も含んでいます。文系理系問わず数学Ⅲの内容を少しだけ学習してもらうことになりますが、これは付属校ならではの「受験にとらわれない」環境だからこその特徴だと思います。
文系志望の生徒にとっては、数学Ⅲの学習は無駄に思えるかもしれません。しかしながら、昨今AIの台頭により、文系でも情報分析・統計処理の手段として否が応でも数学に触れる機会が増えてきています。こうした情勢では、「全く数学が分からない文系」よりも「数学的なエッセンスがある程度掴める文系」の方が将来の活躍の幅が広がると思えませんか?
そして、より高度な数学的な技能、知識を身に着けることで物事に対する見方が変わります。このような視野の広がりが、高2の冬の文系理系のクラス選択、そして高3の冬の法政大学の学部選択など、将来の進路開拓の一助になればと思い、カリキュラムを組んでいます。
いかがでしたか? 法政大学第二中・高等学校ではこのほかにも様々な工夫がこらされた授業が行われています。今後もいろいろな授業について紹介していきたいと思います。
※授業における取組の内容については、年度によって変わることがあります。