現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に付けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回はある日の高校生の家庭科の授業を見てみましょう。
Q.今日の家庭科の授業では、どんなことに取り組んでいますか?
多様な他者と社会との繋がりを意識しながら自分の生活を創造する力を身につけることを目的に1年間学習します。今回は、2学期の「食」の学習の一部を紹介します。
Q.家庭科ではどのような力を身につけてほしいですか?
2023年の夏休み明け一回目の授業は、高校2年生が生まれた2006年8月と2023年8月の気温を比較することからはじめました。17年で暑くなっていることは一目瞭然!気候危機が現在進行中であることを確認しました。そして、この気候危機の原因となる温室効果ガスの約1/3は食料システムから排出されており、その中でも高校生が好む食用牛の生産における温室効果ガスの排出が多いことを学習しました。実は、「環境負荷が少ない料理をつくろう(旬の食材を使用するor肉や魚ではなく大豆加工品を使用する)」という夏休み課題に生徒たちは取り組んでおり、その課題の意図を再度より深く捉えるための授業でもあります。
(画像の内容:高野豆腐と旬の野菜の卵とじ、枝豆とコーンのごはん、きゅうりの酢の物、豆腐と油揚げのみそ汁)
一方で、自分の食生活と気候危機が繋がっていることが分かっても、アクションには繋がりにくいのが現実です。そのため、「STOP気候危機プロジェクト」という「自分の好きなこと×温室効果ガス削減」についてオリジナルで考える課題に取り組みました。この学習を通して、「自分の生活と世界の問題が繋がっていること、そして、何を選ぶかで社会や世界が変わること」を知って欲しいと思います。また、「生徒の発想やアクションが世界を良い方向に変えるきっかけになるかもしれない」ことをほんの少しでも実感してくれると嬉しいです。